ノラ君の新学期

 

もう家の回りに田んぼはなくなりましたが、前は田んぼだらけでした。


 今日は、ノラ君の話をしましょう。

小学校には集団で登校するための登校班がありました。この登校班に野良犬だったノラ

君が加わるようになっていたのです。頭が一年生と並ぶくらいの少し大きな犬でした

が、おとなしくて、「ノラ君」と頭をなでられると喜んで尾っぽをふっていましたよ。

長い夏休みで、登校班のことはもう忘れているのかと思ったら、ちゃんとどこからか、

嬉しそうに尾をふりながらやってきたのです。

 野良犬ですから、やはり危ないと心配する父兄もいたのでしょう。あるとき、「おじ

さんに蹴られて、キャインと鳴いてどこかへ行ってしまった」と子供に言われました。

 それでも、あちこちで、のんびりと散歩したり休んだりしているノラ君を見かけるこ

とはあったのです。その当時、わが家にいた犬のアミちゃんと仲良く並んで寝ていたり

して。お客様がみえると、アミと一緒にワンワンと、わが家の犬のようなふりをしたり

して、ね。仔犬ができてしまうよとはよくいわれたのですが、アミちゃんずいぶん年寄

りだったから、まさかね、なんて思っていました。

 アミちゃん、よく食べるね、太ってきたね、などといっていたら、ひょいと赤ちゃん

を産んだのです。卵より小さいような犬。

その話はまたにしましょう。